ある大学生の話です。小学生の頃、いじめをしていたそうです。それもグループを組んでのいじめで、その時はけっこう楽しかったそうです。
しかし、中学生になったある日、突然、彼女は気づいてしまいました。「自分はとんでもない悪いことをしていた」と。それからは「何て自分は悪い人間なんだ」と思うようになり、人と交流を持てなくなってしまったのだそうです。それを聞いて驚きました。いじめられた方だけではなく、いじめた方も傷ついていたということにです。
よくよく話を聞いていくと、決してキライでいじめたのではないのです。その人に何らかの興味があり、いじめという形になってしまったようなのです。よくある話で、興味があるからいじめてしまう。その学生は、実は人間に興味を持っていたのです。話を進めていくうちに「人間の心理にとても興味があって、心理学を勉強してみたい」と心を開いてくれました。
彼女には、IQ(知能指数)よりもEQ(心の知能指数)の大切さを話しました。IQというのは知能の高い・低いを表すもので、生まれながらの素質だから努力しても良くならないと言う人がいます。一方、EQは「自制」「熱意」「忍耐」「意欲」といったものを含めた心の豊かさを表し、経験することで身についていくものだと言われています。
どうも人間は、人を傷つけたり、自分も傷ついたりしながら学習をしているようです。話しをしながら自分自身、もっと「心について」勉強してみようと思いました。