子供の頃、居間の真ん中の柱には
振り子が揺れる柱時計が着いていました。
明治生まれのおじいちゃんは、
踏み台を持ってきて、
毎日決まった時間にゆっくりゆっくり
ぎぃ、ぎぃ、っと螺子を巻きます。
それを見ているのが大好きで
いつもおじいちゃんの螺子まきを
密かに楽しみにしていました。
ある時、
螺子はな、ゆっくり巻くもんだ。
そして、巻きすぎてもダメ、
緩すぎてもダメ、と言うのです。
そうすると長持ちするんだよ、と。
そんなおじいちゃんは、
とにかく毎日決まって同じことをする達人。
魚の味噌煮は骨だけになるまでキレイに食べ、
お茶をかけて骨を洗うようにして、
それを最後に飲み干す。
歯ブラシはな、歯を磨いた後に
反り返らないように手でこうやって戻すんだ、
と自分の手でやって教えてくれました。
凄いことではないかもしれないけど
毎日の大切なルーティーンを見せてくれました。
お酒も毎日飲みます。
ある日の夕飯、母が
おじいちゃん、済みません今日お酒切らしちゃって、
というと……
わしゃ、毎日一合より多く飲む日も無いが
何も飲まない日も無いなぁ……と。
母はすぐにお酒を買いに行きました、
おじいちゃんは明治生まれの人でありながら
93歳まで健康で暮らしました。
毎日の自分にとっての大切なこと
しっかり実行することを教えてくれました。
決まった時間に起きる、
決まった時間に食事をする、
かならずトイレ掃除をする、
かならずあいさつをする、
数えたことはありませんが
相当ルーティーンが多いと思います。
そのお陰か、ひ弱でありながら
風邪をひくくらいで、
病気をしたことがありません。
もう少し歳をとったら、
一合以上飲む日もないけど、
何も飲まない日もない日を続け、
おじいちゃんと晩酌をしたいと思います。
今もそれに近いですが……
家電も眼鏡も自動車も洋服も
毎日同じように接して上げていると
長持ちすると思いませんか?
いずれ柱時計も欲しいと思います。