「牛乳パックは上質のパルプからできているから、再生にむいています。みんな、エコロジーのために牛乳パックは捨てずにリサイクルに出しましょう」。そんなことが叫ばれました。捨てないことで社会の役に立つのなら、こんなにいいことはありません。「私はいいことをしている」的感覚で、どんどん牛乳パックが集められました。
しかしその牛乳パックは、製紙会社の倉庫に山積みに放置されてしまいました。なぜでしょう。
牛乳パックから再生紙を作るには、手間がかかりお金がかかってしまいます。当然、できたトイレットペーパーは、バージンパルプから作ったものより割高になります。それが売れないのです。何円か高くなってしまったものは売れない。しかしそれでは製紙会社はやっていけません。バッサバッサと切り倒した木を外国から輸入して作った方が原価がかからず、安く市場に提供できます。また、同じ再生紙でも、新聞紙からのリサイクルの方が安くできます。こうして結局、集められた牛乳パックは放置されてしまったのです。
多少高価でも、リサイクル品を買うところまでいってはじめて、真のリサイクルが成り立つのではないでしょうか。自分にとって何もリスクのないことだけをしていたのでは、きっと世の中は変わりません。
意識を高めることで気づくことのススメ
自分の家の冷蔵庫に入っている牛乳は日付けの古いものから飲むのに、スーパーで牛乳を買う時はできるだけ日付けの新しいものを買う。もうそんな、自分中心の生活から少しずつ離れていきたいと思います。ホントのエコロジーって、目立たないところにいっぱいあるはずです。