以前は自転車で通勤していましたが、最近、のんびり風景を楽しんで歩く心の余裕がほしくて、徒歩で通うことにしました。
それでも会社まで、たったの七〜八分。でも公園を突っ切ってくるため、わずかな時間の中でたくさんの犬の散歩に出会います。
最初の頃は「あ、柴犬だ」とか「マルチーズだ」とか犬の種類で見ていましたが、ある朝ふと気づきました。よくよく見ると、みんな性格もちがうし表情もちがいます。当たり前のことですが、今さらのように気がついたのです。
飼い主から逃走した「秋田犬」は、駆けながら振り向きざまに笑っていました。片足を上げて眉間にしわを寄せて哲学している「シェパード」もいます。小型犬でも堂々としている奴もいる。
お爺さんの歩調にあわせてゆっくり歩いている「柴犬」は、絶対に引き綱を張りません。
ある犬は、初めの頃は私の顔を見て駆け寄ってきてはギャンギャン吠えていましたが、何度も会ううちに吠えなくなりました。
なんか、今まではシルエットだけで見ていたんだな…とすごく反省しました。一〇一匹わんちゃんの「ダルメシアン」も、模様だけで見分けないようにしよう。小さな「チワワ」だからきっとか弱いんだろう、という見方はやめよう。
知らないうちに差別していた自分に「早く気づきなさいよ」と教えてくれたワンちゃんたちの顔がいくつも浮かんできました。
これから、もっとみんなと仲良くなれそうな気がした朝でした。